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4. 持続性に配慮した観光地づくりの考え方

・バリ島では、1]地域特性・習慣の尊重、2]観光による収入の地域への配分といった持続性に配慮した観光地づくりの考え方は、政変以降、特に重視され、実践され始めている。

・ただし、土地利用計画(マスタープラン)は存在するものの、執行力がさほど強くないために、必ずしも自然環境保全等に関しては、認識・実行性は強くない。

 

1) 国の考え方

・インドネシア政府は、次の2つの方針を打ち出している。

1] 観光事業者からコミュニティヘの利益の還元

・WTOが発表した「Global Code of Ethics」にも基づき、観光は地域社会にも利益を与えるべきと考え、国や民間の観光事業者・経営者は利益のおよそ10〜15%を地域コミュニティに提供することを期待している。

2] 地域主導型観光地づくり

・各地でボトムアップ(地域主導型)の観光地づくりを推進する。(その利点として、(1) (コミュニティの収入増加によって)地域の資源に対する意識・市民参加の増加、(2)地域の自然環境の汚染・破壊問題の解決(持続性がある)につながると認識されている)

・それにより地域住民のエンパワーメント(権限付与)が推進され、比較的に進んでいない地域の発展に役立つと期待している。

※1999年の地方分権法に基づいて、中央政府の役割は観光開発の全体的な考え方・政策を制定し、管理することと指定されている。

 

2) 州政府の考え方

・観光まちづくりのコンセプトには、共感する部分が多い。

・サスティナブル・ツーリズムには、次の3点を満たす必要がある。

1] 観光客の満足

2] 観光による利益を、地元が享受できる仕組み

3] 環境・資源の保護と観光とのバランス

 

3) 住民・コミュニティ

・宗教上の規則、バンジャール(コミュニティ)での取り決めを最重視する。

・そのため、規則等の制限を越える施設整備や観光事業等については、受け入れない。

 

 

 

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