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その様にして迎えた1997年、神農架はさらに、センセーショナルな話題を民衆に提供することとなる。

この年10月1日、ビデオCD(以下VCD)『神農架“野人”探奇』が発売される。いわば、神農架のプロモーション映像集である。制作は中国野考会と武漢大学音像出版社。定価は日本円で500円前後であり、場所によってはディスカウントされ、100円ほど。都市部の人間にとってはそれほど高くはない値段である。筆者は留学先の成都で入手したが、日本円で400円程度で売られていた。ジャケット写真は神農架の木々をイメージした緑に、裸の男がコラージュで組み込まれている。ジャケット裏の解説はこうだ。

『神農架“野人”探奇』は中国“野人”科学研究の20年あまりに及ぶ内幕を忠実に収録したものです。多くの“野人”目撃者のインタビュー映像や、“野人”の足跡・毛髪・ねぐらなどの物的証拠やその科学鑑定も収録。また、野考会会員が撮影した“野人”と人間との間に産まれたという“生きた個体”の映像も収め、さらに、それとアメリカのビッグフット、四大類人猿の特徴とを比較しています。数多くの資料や映像はどれも世界初公開であり、大変貴重なものです。

本作品は神農架原生林の奇異な風景、動植物や観光スポットも紹介しています。多くの人々、特に青少年の皆さんに向け、人類進化の歴史等の科学知識を普及宣伝するビビッドな教材であり、科学的、冒険的側面だけではなく、知的かつ鑑賞して楽しめる面も備えています注5

 

「“野人”と人間との間に産まれたという“生きた個体”の映像」と断定している箇所には驚かされる。

計58分28秒中最初の12分あまりは、神農架の動植物や自然環境についての紹介がなされ、観光名所の数々が映し出される。そこからは、かつてかの地で実施された“野人”調査の歴史を紹介し始める。目撃者の紹介、専門家の話などが収録されているが、見る者を驚かせる映像は42分過ぎに訪れる。

 

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