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以上の流れをまとめると、図6のようになる。昭和50年から平成9年までを、5つの時期に区分できる。観光者数の変化は、推定により、曲線で表した。

 

図6. 競走馬牧場へのツーリズムの発展段階区分

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IV. 変遷の背景

本章では、図6をみながら、前史を除くハイセイコー以降の当該ツーリズムの変遷について、区分された時期毎の背景を分析していく。前章の記述だけでも、「情報」はツーリズムの発展にかなり関与しているとみられるが、ここではより詳細に検討する。

 

(1) アイドル馬報道と旅行動機

観光者数を示した曲線からも、ハイセイコーとオグリキャップの競走馬引退がエポックであったことに、異論はないであろう。これらの馬が競走を引退、繁殖入りした先の牧場を訪ねて、多くの者が産地への旅に向かった。この現象が起きたのは、両馬のファンの馬に対する思い入ればかりではなく、これに伴うマスメディアの報道が併せて、そしておそらくは強く作用して、旅を想起させたためと考えられる。ハイセイコーやオグリキャップは、競馬ファンならずとも名が知られた存在で、専門の媒体に限らず、多様なマスメディアの報道の対象であった。テレビ、新聞、雑誌、書籍などは、実際の牧場やそこにいる馬の姿を人々の視界に送り込んでいた。

 

 

 

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