●特集2
行政苦情救済・オンブズマン 福岡フォーラム
―公正で信頼される行政をめざして―
(社)全国行政相談委員連合協議会
全相協、九州広相協、九州管区行政監察局の共催による標記フォーラムが、一一月一四、一五日の両日福岡市で開催されました。
今回のフォーラムは、大阪、仙台、広島、名古屋につづく第五回目ということになりますが、当日は、国の行政機関、特殊法人、地方公共団体の関係者、行政相談委員、各種相談員、学識経験者など約三〇〇名の方が参加され、大変盛会でした。
第一日目は、カナダ・ケベック州のオンブズマンで国際オンブズマン協会事務局長をされているダニエル・ジャコビー氏の基調講演「オンブズマン制度の発展とその役割」と、西南学院大学法学部教授の川上宏二郎先生の司会で六人のパネリストによるパネルディスカッション「二一世紀を展望した市民にとって望ましい行政苦情救済制度を考える」が行なわれました。
第二日目は、ダニエル・ジャコビー氏と福岡県の行政相談委員の代表とによる意見交換会が行なわれました。
以下、第一日目の基調講演とパネルディスカッションを聞いて、印象に残ったところを中心に、その要旨をご紹介します。
基調講演
オンブズマン制度の発展とその役割
ダニエル・ジャコビー氏
カナダ・ケベック州オンブズマン
国際オンブズマン協会事務局長
オンブズマン制度が現在の形をとりはじめたのは、一八○○年代初頭(一八〇九年)スウェーデンでのことです。それから一世紀後にフィンランド、デンマーク(一九五五年)ノルウェー(一九六二年)などのスカンジナビア諸国に広がり、一九六〇年から一九七〇年にかけてイギリス連邦諸国に、そして一九七〇年代後半から世界中に広がっていきました。
このオンブズマンが「果たすべき役割」について申しますと、「監視し改善すること」です。オンブズマンは、ただ単に行政決定の合法性を監視するたけではなく、その妥当性と適時性も監視しなければなりません。そして国民からの苦情を、国民に代わって、関係機関に是正を勧告するのです。
このようにオンブズマンは国民の苦情の処理という仕事をするわけですが、その際重視しなければならないことは、「有効であるか」ということです。私はこれを「有効性を重視するオンブズマンの特性」と呼んでいます。そしてこの有効性を達成するためには、オンブズマンは次の三つの要件を満たす必要があります。
○プロアクティブ(創造力豊かで主導権を取れる積極生)
○アクセシブル(利用し易さ、近付き易さ)
○インディペンデント(独立性)
プロアクティブについて説明します。オンブズマンかプロアクティブであるためには、次の要件を満たす必要があります。
1] オンブズマンは、まずイニシアティブ主導権を取るべき時を知り、「体系的アプローチ」をする必要かあります。そのためには個々の苦情をベースにして、公的機関の全体像を把握します。全体像を把握することによって明快な判断が可能となり、是正措置が具現化可能なものとなります。