(3) 「介護保険 市民オンブズマン機構・大阪」―NPOの活動―
行政がイニシアティブをとって設置する第三者機関ではなく、市民ボランティアが中心となって利用者の目でケアの質を監視し、利用者の苦情や要望を汲み上げる「市民オンブズマン」活動が1990年代以降各地で展開されるようになってきた。介護保険導入に伴い、「措置」から「契約」へと福祉の理念が転換される中、「消費者」の立場で介護サービスの質を守る「市民オンブズマン」の役割は増大していると言える。しかし、一般市民の視点を持つことが長所である「市民オンブズマン」は、専門性という面では十分な能力を備えていない場合もある。利用者の苦情・相談を的確に聞き取り、それを中立的、客観的に判断する能力を持った「市民オンブズマン」の養成段階から取り組もうとするのが「介護保険市民オンブズマン機構・大阪」(以下、『機構』)である。同機構は神戸看護大学の岡本祐三教授を中心に上野加代子(桃山学院大学教授)、高畑敬一(ニッポン・アクティブライフ・クラブ会長)、竹中恵美子(高齢社会をよくする女性の会・大阪代表)、都木恵子(大阪YWCA)、早瀬昇(大阪ボランティア協会事務局長)、堀田力(さわやか福祉財団理事長)らの提唱により、平成12年3月発足した。
ア. 組織の概要
『機構』の組織イメージは図II2-(6)のようになる。本部事務局が事業者団体に属する各施設に養成講座を修了したオンブズマンを派遣する契約を結ぶ(契約の対称を施設に限定するのではないが、当面は施設中心に活動していくという)。派遣されたオンブズマンは、日常的に施設入居者の話し相手となり、生活の中の様々な要望・苦情を受け止め、利用者と事業者双方に納得のいく方向へ状況を改善する手助けをする。その際、利用者の家族や関係者を含め、地域社会の多様なボランティア資源を活用し、そこに関わる人すべてに役立つ仕掛け作りを提案していく。専従オンブズマンは、ボランティアオンブズマンを調整し、指導、アドバイス、ケーススタディの勉強会などを開催し、ボランティアオンブズマンの資質向上を図る。本部の役員は表II2-(7)のようなメンバーで構成されている。