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オンブズマン制度は、基本的には紛争、論争の救済を行う仕組みの一つであるから、オンブズマンは、犯人探しというような姿勢ではなく、問題解決という姿勢をしっかり持っておく必要がある。そして最終的には、公共サービスの質の向上、即ち、公的機関の有効性を向上させるのである。

以上、5氏のご発言の要点をご紹介させていただきましたが、いずれも私たちに取りましては参考になるご発言が多く、また、我が国の行政相談(委員)制度について、非常にご理解をいただき、かつこれを高く評価していただいていることが分かります。このように、海外のオンブズマンが我が国の制度について理解を深めていただき、また、私たちが諸外国の制度について理解を深める機会はそんなに多くはありません。その意味で、5回にわたって開催致しましたフォーラムは、お互いが未知のものを既知のものへと変えることのできる貴重な「場」でありました。そして、お互いが理解した事柄を自国の制度と融合させていくことによりましてお互いの制度を発展させることができますならば、地域フォーラムの成果は一層大きなものとなるのではないでしょうか。

 

(おわりに)

平成8年以降5回にわたって開催致しましたフォーラムには、海外から8名のオンブズマンを招聘し、基調講演のほか各地の行政相談委員の代表の方々との意見交換にもご出席をいただき、上述のとおり、それぞれのお国におけるオンブズマンの活動状況をはじめ世界のオンブズマンの動向と役割等、私どもが国内におりましてはあまり知ることのできない情報を海外でご活躍の方々から直接お伺いすることができました。

また、パネルディスカッションにおきましては、国内の各界有識者延べ35名の方々によりまして「市民にとって望ましい行政苦情救済制度の在り方」について熱心にご討論をいただき、私ども行政相談委員が今後相談活動を続けていく上で、非常に有益なご意見をお聞かせいただきました。

 

過去5回のフォーラムにおいて、会場にお越しいただき、海外のオンブズマンの講演やパネルディスカッションにおける有識者のご意見等を直接お聞きいただいた行政相談委員の方々は約600名(全体の10数パーセント)に過ぎませんが、フォーラムの概要につきましては、全相協の事務局が毎回季刊「行政相談」紙上にてご報告を致しておりますので、同誌を通してすべての行政相談委員の方々が、フォーラムの模様をある程度ご承知いただいているものと思います。

私ども行政相談委員が、今後の行政相談活動の中に、一連のフォーラムにおいて表明されました海外のオンブズマンや各界有識者のご意見等を生かしていくことにより、行政相談(委員)制度の活性化に資することができますならば、全相協が全力を上げて実施して参りましたこの事業も極めて意義深いものになるものと考えます。

最後に、このフォーラムの実施に当たり全面的にご支援をいただきました、日本財団、総務庁行政監察局、同管区行政監察局の方々その他関係機関の方々に対し心から感謝申し上げる次第であります。

 

 

 

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