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「あ、そうですか。それではひとつ関係の省庁に斡旋してみましょう」ということでして、それで関係の省庁が「ノー」と言えばそれ以上押せなくなる−つまり、解決のだめ押しがない制度でございます。しかし、そこを何とか有効的なものたらしめるにはどうしたらいいか。ここが一つ大きな問題点でありまして、ジャコビー先生のお話の中に、少し出ておりましたけれども、実は、そこまで今日は聞きたかったのですが、・・・・我々が今後、行政苦情救済制度の有効性を考えるためには、これは大切なことであろうかと思います。なぜなら、折角、相談に来た人がそれで満足するかどうかが関わってくるからです。

私が今考えておりますのは、別に大したことではなく、行政相談制度が割とうまく機能している理由は何か、ということです。その一つの制度的な仕組みを考えますと、行政監察というのが背後に控えているからだと思います。「あ、そうですか、お宅この件についてはそういう答えしかできませんか。それでは一つ監察に入りましょうか」と言える仕組みを総務庁が持っている、ということだと思います。このように、苦情救済の機能を有効に働かせるためには、一つだけで押すのではなく、何かそういう後押しをするようなもう一つの仕組みとワンセットにすることが必要になってくるだろうと思うのです。したがって、行政監察局が行政評価局に変っていくにしても、やはり、この行政相談制度をより有効に機能するものとするためには、そういう制度的工夫をお願いしたいと思っております。

 

以上、3点にわたって私の今日の感想を述べましたが、皆さん共通的に認識しておられることは、行政苦情救済制度が、行政に対する国民の信頼を確保する仕組みとして、有効な制度であり、この制度の発展を推進していこうという姿勢であったと思っております。これを機会に、この制度がより国民の身近な存在であることをご理解いただき、この制度をより多くの人々が活用されることになれば、この意義は非常に深かったと思います。

どうも、ご清聴有り難うございました。

 

 

 

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