以上のように、従来の里親委託に限らず、様々な里親による役割、特に子育て支援の役割として期待が高まっているものと考えられる。そして、それらの期待に応えられるような十分な専門性と対応の柔軟性が求められていると考えられる。
5. おわりに
以上のように、里親制度の理念、歴史、現状、課題についてまとめてみた。非常に大まかにまとめたが、里親制度は理念的に、また制度的に非常に奥の深い制度であり、また、わが国の状況からいろいろな課題を抱えている制度であると考えられる。先に家庭的養護の理念のところでもふれたが、子どもにとって家庭とは非常に重要なところであり、また、子どものウェルビーングの実現を考えると、さらに里親による養育が重要であることが考えられる。1989年国連で採択された「子どもの権利条約(1994年にわが国は批准)」第20条の[家庭環境を奪われた児童の保護]第3項では「当該児童には、特に里親委託、イスラム法のカファラ、養子縁組、又は必要な場合には児童の養護に適する施設への委託を含むことができる」。とされており、代替的養護のうち、施設入所よりも里親、養子縁組が優先的に考えられている。