「まず第一に考えられるのは児相と里親会との一体的活動である。埼玉県の特長は養育里親が主流になっていることである。養子希望の里親としての登録は増えているが養子縁組による措置解除は全体の3分の1に足りない。要保護児童は、ことに幼児の場合に、施設入所よりも里親委託を第一義的に考えるべきだという志向が児童福祉法施行当時より現在に至るまで児相内に一貫して伝えられてきているようにみえる」。「昭和23年里親制度施行以来児相の児童福祉司の里親開拓への活動は熱意と努力の著しいものがあった。昭和25年頃比企郡吉見村担当の井上澄善児童福祉司が戦災孤児などの救済のため、村の村長、助役、教育長、校長、医者など盡く里親にさせたという話は物語として残っており、吉見村は里親村として知られていた。」埼玉県の里親活動が何故今日このように発展したのか、「少なくとも里親制度に関しては初代の会長井ヶ田酉之助はじめ代々の会長が里親として長い経験を積みつづけながら県の里親会に貢献したこと、各支部に指導的理事がおり里親活動の推進をはかってきたことなど、多くの里親の貢献の歴史が埼玉県の里親会の歴史であるが、その陰に児相の里親制度推進への精力的な努力がある。とくに児童福祉法制定当初里親制度の発展に貢献した初期の児童福祉司の活動は見逃せない」と述べている。
