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また、集団主義養護と理論について「現在では本当にそういうようなことを自分の施設の方針として表立ってやっているところはないと思うのですが、こういう考え方が処遇選択肢の中でどの程度、里親委託や養子縁組にたいする優先順位に影を落としていったか」。「つまり経営的な考え方で、施設は存続しなければならない。また、自分たちの理念でもってともかく施設を続けていかなければならない。潰れたら困るという発想が、わが国のこの養護処遇の施策なり、あるいは実践のなかに強く反映してきた」と述べている。

3] 櫻井奈津子氏の視点

櫻井(1999)は里親の増えない理由について「わが国の伝統的な家に対する価値観とか家族意識が里親制度になじまないのだとか、とくに都市部においては住宅事情や共働き家庭の増加が原因といわれています。そうしたことも大きな要因の一つであるといえますが、私自身は自分はワーカーとしての経験から、里子に限らず子育てという作業を含めた家庭の中でのいわゆるアンペイドワークに対する評価の低さも、里親制度不振の原因の一つではないか」と述べている。

 

 

 

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