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里親制度が法的に整備されたのは、戦後の児童福祉法においてである。松本園子(1985)によれば、児童福祉法は当時、児童保護法として構想されていたが、その構想には里親の規定はみられず、児童福祉法要綱案(昭和22・1・6)の段階で、「初めて『里親』への委託が法による保護のひとつとして位置づけられた。そして里親についての定義もなされ、地方長官の認定が必要とされている。しかし、要保護児童の委託としては親族等の家庭、寺院、教会等が里親と同列に置かれており、ここでの里親は必ずしも児童の保護・福祉という目的をもたぬ慣習的な里親を想定していたことがうかがえる」としている。そして児童福祉法案(昭和22・6・2)では「福祉の措置のひとつとしての里親の位置づけは2・3案とほぼ同様で依然として親族等の家庭と同列においているが、一方、単独で『里親』節を設け、里親の定義と知事の監督義務の明記に当てている」と述べている。さらに児童福祉法案(昭和22・7・21)において「初めてそれまでの"委託先として認められる様々な私人"のうちのひとつとしてではなく、児童福祉施設と並ぶ位置にいわば引き上げられる。里親以外の私人は福祉の措置としての委託先からはずされ、児童福祉法に基く家庭委託は里親に限定されることになった。

 

 

 

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