一方、院外委託の実際は、一般に乳母を求めての乳児の里親委託か、あるいは、高齢時の独立・自立のステップとしての徒弟的委託であり、必ずしも家庭生活そのものがもつ教育性への積極的評価に基くものではなかった」と述べている。
このように、里親による養育は戦前の育児施設において、石井十次や渋沢栄一らの先駆者によって行われていた。また、東京都養育院の院外委託の理由から、里親による養育は母乳を求めていることや徒弟的委託である等、必ずしも積極的なものではなかったということである。
3) 現在の里親制度
1] 現在の里親制度ができるまで
現在の里親制度は、戦後、1947年児童福祉法によって制度化された。その児童福祉法が成立するまでの、立案段階から、里親制度はどのように現在の制度になっていったのであろうか。児童福祉法の立案準備から成立に至る過程における里親制度の位置づけの変遷を整理してみる。