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つまり「里親」、「里子」の由来は日本国語大辞典による「里」の意味と、口碑による四条大納言藤原公任卿が息女を洛北岩倉村へ預けたことが合わさり生まれた言葉であると考えられる。

2) 戦前の里親養育

里親の起源は前述してきたとおりであり、里親による養育は約1000年以上の歴史をもつといわれている。それでは時代を少しすすめて、戦前、明治期以降の里親による養育はどのように行われていたのであろうか。

戦前、明治期の代表的な里親養育の実践として、「東京養育院渋沢栄一の『里子預け』、岡山孤児院石井十次の委託制度」(遠藤、1998)があげられる。

この時代の育児施設(当時の児童保護施設の一般名称)での院外委託(収容保護した児童の養育を院外の一般家庭に委託すること)について松本園子(1986)は、「乳児(3歳児未満児といった幅広い意味で使用)と義務教育終了後の児童が院外委託の主な対象であったが、委託の内容は両者では異なる。前者の里預けは委託料を支払い、専ら養育を目的とする、今日の里親制度につながるものであり、後者は、徒弟的な、労働力の提供を含むものであり、一応今日の保護受託者(職親)制度に結びつくもの」であると述べている。

 

 

 

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