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ここは、京都からの地の利も良く、ときどき子どもを訪ねてその様子を知ることができる。田畑にでた里母も三度の食事にもどってきては母乳を与えることができ、野良仕事のさ中でも、子どもの実母や縁者の来訪あらば、宅から呼びに来られるとただちに帰って、その方々に満足を与えられるよう詳しく子どもの状況を語ることができる。この洛北が急速に集団的な里子村(里親村)を形成していくのは明治の半ばからである。大正十二、三年の調査当時も盛況で、修学院、上賀茂、大原、八瀬、など、九カ村にわたって二五一名もの里子がいた。そのうち岩倉村が九八名。岩倉村の戸数は四八二戸。それからすると五戸に一人の平均数になり群を抜いて多い、と述べている。

日本国語大事典[縮刷版](1990)には、「里親」「里子」の「里」という語には

・人家のあつまっているところ。人の住まない山間に対して、人の住んでいる所。

・宮廷を「内(うち)」というのに対して、それ以外の場所をいう。特に宮仕えする人が自分の住家または実家をさしていう。

・(都に対して)田舎(いなか)

等の意味がある。

 

 

 

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