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3. 里親の歴史

以上までは、子どもが家庭で育つことの大切さについて触れてきた。子どもが家庭を持つ権利やウェルビーイングの理念から里親制度は非常に重要な役割を担っているといえよう。その里親制度は、戦後、1947年の児童福祉法により制度化されたが、里親による養育制度は、約1000年前に起源を持つと言われている。ここで、「里親」、「里子」の言葉の由来をたどりながら、戦前の里親による養育、現在の里親制度について述べていきたい。

1) 「里親」「里子」の由来

武井(2000)によれば、「里子の起源」は、「人の住んでいる地」、すなわち「里」へ子どもを「与える」のではなく「遣る」「送る」ことから、「村里へ預けた子ども」「村里に住んでいる子ども」を"里子"と呼ぶようになり、それが「他人に養育を委託した子ども」につながっているようである、ということである。

また、「里子の由来」について武井(2000)は、口碑によれば、後一条天皇の時代(一〇一六〜一〇三六)、四条大納言藤原公任卿が息女を洛北岩倉村へ預けたのが、その始まりとされている。

 

 

 

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