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しかし多くの場合、それは挫折したりうまくいかなかった。そのポイントは、親と一緒だからなのか、それとも家庭という環境が子どもにとって一番の安全基地になりうる何か心理的な機能をもっているからなのだろうか。私たち研究者からしますと、その部分いつも重要な関心事でした。どちらかというと、親がいればいいという考えよりも、母性的なケアとか、親的な機能を持っていることの方が重要ではないか、ということがありました。そうしますと子どものケアに関しても、もしどうしても親のケアが難しい場合には、施設的なケアよりも家庭的なケアがよいのではないか、つまり里親や養子縁組によるケアのほうがいいのではないか」ということと結びつくわけです。さらに、子どもが家庭を持つ権利について「実の親であればよいということをもう少し超えた家庭的ケアが子どもに及ぼす影響、子どもがその家庭の中で心理的親として感じられる人がいるという体験」をする、そういう部分が深まっている。つまり、子どもが家庭を持つ権利とは「どんな状況にあっても家庭的な養育環境を子どもに配慮するにはどうしたらよいかというところまで進めなくてはならない、そういう時代」にきているということである。

 

 

 

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