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さらに、網野(2000)は子どもが家庭を持つ権利について、第一回ホワイトハウス会議から現在に至るまでの意味について以下のように説明している。1909年に初めてアメリカの児童福祉分野の専門家たちが集まる第一回ホワイトハウス会議が開かれた。そのときテオドル・ルーズベルトを中心にまとめられた宣言の内容は「家庭の偉大さ、家庭の気高さ」であり、「その宣言を日本語に訳しますと『家庭は人類の生んだ最も気高く最も美しい文明の所産である』という表現に」なる。そして、「その家庭という言葉を視座に置いたときに、次のような有名な宣言が出てきます。『緊急やむをえない事情でない限り児童を家庭から引き離してはならない』」と。ホワイト・ハウス会議の宣言は子どもにとってみればどうであろうか。「仮に実の親であろうとそうでなかろうと、生まれてからとくに人生の初期であればあるほど、これほど愛される環境、幸せだなと思える環境を求めて子どもがいろいろな姿でサインを発している。それを一番受け止めて応えられる部分が家庭」ではないか。子どもはなぜ家庭がなくてはならないのだろうか。「一時期は、社会主義思想とかいろいろなことを含めて言えば、極端な言い方をしますと家庭よりもっとよい環境があるはずだ、という実験もあったわけです。

 

 

 

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