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大阪(1998)によれば、これは「養子と里親制度に関する専門家会議」<1978年ジュネーブ>が採択した宣言草案の基本理念であり、「実親の家族のうちにとどまることのできない子は、施設よりも里親家庭に預けられるか、または養子とされるべきである。ただしその子の特殊な必要が特別の施設で最善に充足される場合はこの限りではない」ということであり、ここに実親以外の第三者による養護(家庭的養護=里親委託か養子縁組、施設養護)の基本原則が示されている、と述べている。つまり、施設より里親または養子縁組を優先させるということである。

また、子どもが家庭を持つことについて、松本武子(1991)は、1909年(明治42年)に第一回全米児童福祉会議がホワイトハウスで開催されたときのルーズベルト大統領の提言(「家庭生活は文明の最高にして最もすばらしい所産である。緊急やむを得ない理由でない限り、子どもから家庭を奪ってはならない。もし両親の死亡あるいはやむを得ない事情で子どもが家庭生活を続けることができなくなる場合には、子どもの実の家庭に最も似た環境で育てられるべきである」)について、この提言はアメリカの要養護児童の施策に里親制度の方向づけをなしたと述べている。

 

 

 

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