しかし、後述でふれるが、里親による養護は施設養護に対して約1割程度の水準で推移しており、減少傾向にある。
子どもの福祉を考えたとき、里親制度は重要な役割を担っていると考えられるが、わが国ではこの制度は振るっていないのが現状である。
本稿では、そのような現状にある里親制度について、家庭的養護の理念についてまとめ、里親制度の意義について確認し、また里親の歴史、現状、そして不振の要因、さらに今後の課題についてまとめてみたい。
2. 家庭的養護の理念
1) 子どもが家庭を持つ権利
里親制度は、なんらかの理由で元の家庭で生活することができず、社会的な養護を必要としている子どもに家庭での養育を提供するという非常に重要な役割を果たしている。子どもにとって家庭とは欠かすことのできないものである。その理念が「すべての子どもは家族をもつ権利を有する」という言葉に表れている。