二、里親制度の概要について
淑徳大学大学院 中嶋真人
1. はじめに
1947年児童福祉法が成立し、そこではじめて里親による養育が制度化されてから54年が経つ。児童福祉法では児童福祉の理念として第一条に「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。2] すべて児童はひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」としている。この法律の理念を実現するために、里親制度は社会的養護の一環として、家庭的な養育を提供する重要な役割を果たしてきたと考えられる。また、1951年の児童憲章には「すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。」とうたわれている。ここでは「家庭」に力点がおかれており、子どもが成長する上で、最もふさわしい環境は家庭であることがこめられている宣言と考えられる。この児童憲章の理念を実現させるためにも里親制度は重要な役割を担ってきたと考えられる。