前者には「しつけについて」「学習面について」「進学問題について」といった問題があり、後者には「里子と実子との問題について」「委託の継続について」「里子と里親の親族との問題について」「養育費について」「住宅事情について」といったる問題がみられた。「しつけ」や「学習面」といった問題は、一般家庭における養育にも共通してみられる問題であるが、その要因が委託前の子どもの養育環境や里子という境遇にあると理解され易いため、養育家庭は専門的助言や援助を求めている場合がある。
2) 養育家庭を取り巻く地域社会
周囲の人の無理解に悩んだことのある養育家庭は、悩んだことのない養育家庭よりも少なかったことから、多くの養育家庭は近隣の人々からの理解や協力を得ながら地域社会の中で子どもを養育していることがわかった。しかし、子どもの生活の大部分を占める学校や医療機関での問題が多くみられたことから、養育家庭制度に対する正しい理解や委託されている子どもへの配慮が不十分であるといえる。学校関係に対しては平成8年に東京都福祉局長依頼として東京都教育長あてに「公立学校に在学する養育家庭(里親)で生活している子どもたちへの教育上の配慮について(依頼)」の通知が出され、また医療機関に対しては平成2年に「児童福祉法による措置児童等にかかわる医療給付に関する費用の請求事務等取扱要領」が元福児童第602号福祉局長改正として出されている。