まさか自分が施設を出される対象に入っているとは思わなかったし、何よりもこの施設が好きでしたから、絶対に出ていきたくなかった。
しかし、そんな僕に先生は言いました。
「この施設にいても、限られた社会しか見れないよ。でもね、養子に行けば、きっと広い面で社会が見られるし、いろんな体験が出来るよ…。」と。
でも、まだ小学五年の僕にとっては、とても判断出来ることではなかったんです。
先生も僕に告げる事はつらかっただろうと思う。結局僕と弟は二年間の施設集団生活を終えて、新たな未知の世界へ出発しました。
それが今の美張分教会で、相談所の先生と共に来させて頂きました。正直、最初はものすごく不安でした。この新しい世界で本当に皆さんとうまくやって行けるだろうか?と。でも、その心配はすぐに飛んでいきました。里親の会長様も奥様も我が子(五人)同様に時には怒ったり、時にはやさしく導いて下さり兄弟となった兄さん姉さん皆さん、そして多人数の教会家族の皆さん(外国人の留学生もいれて全員で十七、八人)と、小学生・中学生・高校生・修養科生・講習生、そして教会青年として今まで十六年間を本当に楽しく充実した教会生活をおくらせて頂きました。