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その中二の女子は、わが家族にはならずに終りました。

この十七年間に、入れ替り何人もの子どもがお世話になっている学区の中学校なので、"美張分教会、杉江"での里親は知れ渡っている。大迷惑をかけたり、担任の先生と種々相談したり、共に生徒の家庭に謝りに行ったり、又一度に四人もの転入学で学校の方から「不用になった制服三着をよろしかったらどうぞ。」と拝受したり、

「成績がこの一年間で大変向上して、勉強にやる気を出して来ましたよ。」と誉(ほ)められたりもした。

(5) 良かったと吹っ飛んだ苦労

今年の夏七月、「お電話です。」と里子の呼びで取った受話器の声は、忘れもしない前述のK君と判ったが、「ハイどなたですか。」

「会長さんですか? 俺です…。」

「聞いた事がある声なんだが、誰だったかな。俺では分からないですねー。」

 

 

 

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