日本財団 図書館


愛妻は、衣服の調達や子供の舵とりに懸命でした。

我が子と里子が同学年同組で、遠足だ、写生会だといえば、水筒や画板も同じ様に用意し、雨の日は傘や長靴がいる―小学校から高校生までの八人の子供ですから、大変だったと思います。朝大声で起こして、学習用具を揃えさせて食事、忘れ物のない様に学校へ送り出すだけでなく、就学前の幼児が二人居るんですから、その面倒見は大声で怒鳴ったり走り廻ったりの、朝の一刻は家庭内戦場そのものでした。

二人も、そんな妻に安心して甘えられるらしく、最初の頃は用件だけしか言わなかったのが、「おばさん」から「正治君(私の末子)のお母さん」と照れながらも「お母さん」が出る様になりました。

私の事は、家中が会長さんと呼んでいますから、同じ様に「会長さん」と言って抵抗はない様です。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION