日本財団 図書館


その中の数人は特別な友達で、A君の思う通りに行動してくれる。活発で頼もしく見えるA君だが、よくよく見れば我がままな子供である。運動会でも、何をやっても一番だ。こんなA君の姿におばあちゃんは目を細めた。

―母の日記より―

○月○日 勤めから帰ってみると姑が浮かぬ顔、「Aちゃんが保育園の帰りに○○ちゃんのおばあちゃんに体当りして、おばあちゃんはうば車ごと田んぼに落ち、保育園で応急手当をしてもらったが心配なので、病院に行ってもらった。」との事であった。

早速主人と二人で謝りに伺う。おばあちゃんは幸いすり傷ですんだが、完治まで病院に通ってもらう事にし、送迎できない私達二人はタクシーを使ってもらう事を約束して帰宅。「あーあ、でも○○ちゃんには怪我がなく、おばあちゃんもすり傷ですんでよかった。」と胸をなでおろすやら、あまりの元気の良さに複雑な胸の内であった。

それでも保育園の先生からは、「先日、園長先生のお嬢さんが二十歳で着物姿を見て、『きんらんどんすのおびしめながらー』とすぐ歌が出てきたり、『きれいじゃなー先生』と、感性の豊かなAちゃんですね。」と言われたり、良い事も悪い事も人一倍なAなのです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION