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やがてA君は、近所の人にも、親類の人達にも温かく受け入れられ、「色白ネ、まんまるおめめで可愛いネ。五つ子ちゃんの洋平ちゃんみたいネー。」等の近所のアイドルになっていった。父は、A君の目覚めと共にうば車に乗せて朝の散歩が日課となり、暑いだろうとうちわで風を送りながらうば車を押す毎朝となった。私達夫婦は共働きのため、おじいちゃん、おばあちゃんが中心に養育することになる。私の両親にとっては待ちに待った孫だけに、その結果は、A君を際限なく甘やかす事となり、「我がままっ子」となっていった。A君をあれ程可笑がっていたおじいちゃんは、半年後、我が家に子供がいることに安心したのかあの世へ旅立っていった。A君一歳半の事である。

いきおい、おばあちゃん一人で養育をする事となる。おじいちゃんのいない淋しさを味わう暇もない程A君は活発に動きまわり、老いたおばあちゃんには、過重負担となったようで、やむなく保育園に入園することになった。保育園では、目立ちたがりやである。そんなA君ですから友達は多く先生方にも可笑がっていただき、昼寝の時など先生を一人占めしたり、おやつをこっそりいただいたりしたようだ。保育園の男の子は、みんな友達だ。

 

 

 

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