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対談

再演「遠い帆」に期待されるもの

2000年7月17日収録

 

10年という長い時間をかけて発酵した「遠い帆」

仙台市市民文化事業団・東海林恒英理事長(以下、理事長と略) 仙台市が支倉オペラをつくろうという話になったのが1990年、すでに10年目になります。遠山先生から作曲家として三善先生をご推挽いただき、三善先生が脚本家として詩人の高橋睦郎先生を選ばれて作品づくりが進められてきた時間は、支倉常長一行が牡鹿半島・月浦を出て太平洋を渡り、スペイン、フランス、イタリアを旅して仙台にもどってくるまでに要したのが約8年ですから、それよりも長くなりました。

音楽評論家・遠山一行さん(以下、遠山と略) 時間がかかってしまったということにはいろいろな理由はあったと思いますが、主として台本と作曲の問題だったと思うんですね。台本ができて、文学的にはたいへん優れたものと私は思うんだけれども、そのままオペラの台本にするには量的にも長いということがあって、三善さんと高橋さんの話し合いがだいぶ時間がかかっちゃったというのが事実でしょう。

理事長 三善先生という、日本における最高の方をご推挽いただいたわけですが、ずっと三善先生でと考えておられたのでしょうか。

遠山 三善さんが最適な方の一人だったということだけは間違いないでしょう。三善さんは今までオペラというものは書いていないわけですね。それだけにかえって期待もされたわけだし、できあがる前から話題になっていた。

 

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