・気象、海図、地誌の調査…事前の一般情報
・自船の出港前の点検…自船の安全に関する情報
・航行中の見張り…航路の安全に関する情報 等々。
これらは全て、事故に備えるための一環した情報と見做すことができます。
情報活用効果の例示
・出港前に点検すれば、航海中燃料ぎれを起こすことがありません。
・事前に調査すれば、危険区域を回避することができます。
・気象情報から出港の適否が決定されます。
・他船の動向を早めに把握すれば、衝突事故を起こすことはありません。
・気象海象の変化を読み取ることで、早期避難ができます。
情報収集の重要性を認識し、事故の未然防止に結び付けたいものです。
2) ルールの順守
海には、安全運航のために守らなければならないルールがあります。航海中は当然このことに意を注ぐ訳です。しかし、相手が必ずしもルールを守るとは限りません。事例として
・自動操舵使用中の居眠り運航
・水上バイクの暴走行為 等々。
そこで、次のことをお薦めします、
七分は、自分がルールを守ることに意を注ぎ三分は、相手がルールを破ることがあるかも知れないと注意する
(私は「七・三の構え」と名付けています)
海難防止は、常日頃の小さな安全の積み重ねから始まります。日に日に大きな安全に育って行くことを切望します。
プレジャーボート関連事件における免許種類別状況
平成12年度「海難審判の現状」によれば、プレジャーボート関連事件で受審人として指定された者は、別表のとおり、平成2年から平成11年の10年間で986人であり、特に平成8年からは急激に増加しています。
この986人の海技免状を種類別にみると、比較的容易に取れる四級小型船舶操縦士免状が477人(49.3%)と最も多く、次に一級小型船舶操縦士免状が473人(48.9%)とこの両免状で全体の約98%を占めています。
ちなみに、昨年(平成11年5月)「船舶職員法」の資格制度が改正され、五級小型船舶操縦士免状が追加されましたが、すでに平成12年8月までに、五級小型船舶操縦士免状取得者の関連した海難を理事官は認知しており、海洋レジャーの普及に伴って、今後益々増加するものとみられます。
プレジャーボートで、楽しく海と親しむためには、「安全」に対しての細心の注意が必要と思われます。
これら海難の発生原因をみると、見張り不十分が最も多く指摘されているほか、操船・操機の不適切、衝突を避けるための措置不適切、音響信号不吹鳴、灯火・形象の不掲揚、水路調査不十分、船位不確認、気象・海象に対する配慮不十分など人為的な要因が多く指摘されています。
海難防止に必要なことは、危険を的確に予測することにあり、危険を予測することができれば、適切に対処することによって危険を回避し事故を未然に防止することが出来ます。
安全運航のための基本的なこととして、海難の発生原因とみられる人為的な要因をなくすことです。「気象・海象の把握」「発航前の点検」「見張りの励行」等は小型船舶操縦士の海技試験によく出題されていますが、これらは危険を予知するための知識・作業ですので、単に受験のための知識に終わらせることなく、免状取得後も事故防止のために確実に励行し役立ててもらいたいものです。