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海は誰のもの

 

昨年NHKの「クロズアップ現代」で海は誰のものが放映され話題を呼びました。

海は特定の人々・業種・企業が独占するものではなく万人のものです。したがって万人のものである海を利用するものは、それぞれが安全を守り、法秩序を守り、そして美しくきれいな海を守る責任があります。

モーターボートや水上オートバイで我がもの顔に海水浴場内を乗り回って他人に危険な思いをさせたり、魚釣りに行ってビニール袋や空缶・余った餌等を捨てて海を汚したり、或いは台風の接近時に警告を無視してサーフィンをしたりする人々、さらに法令を軽視して無資格で操船したり救命設備の不足のまま船を走らせたりするような人々には、「海は皆のもの」と主張する資格はありません。むしろこういった一部の不心得者によって、本来万人のものであるべき海が毒されていると言えます。

このように、海を毒しているものの多くは、法秩序以前のモラルすなわち個々の人間性、道徳心の問題であって、どのくらいそのような人がいるのかは、具体的には数字をあげることはできません。しかしながら明文化された法令に違反して検挙されたもの、海難で救助を要する船舶については、記録も残り数字にも出て明らかになっています。

海事関係法令では、検挙された件数の約80%、海難では要救助船舶の約70%がモーターボート、ヨット、遊漁船等のプレジャーボート等が占めています。

これら小型船舶の多くはマリナー等に繋ぎぱなしで実際に動いている日数は必ずしも多く無いことを考えれば、プレジャーボート等の小型船舶の違反件数、海難発生件数の占める割合は非常に高いものと言えます。言い換えれば小型船舶関係者の遵法精神・安全意識がそれだけ乏しいといえます。勿論最近の海洋レジャーの多様化に伴って、海に関する知識の乏しい一般市民の皆さんが海へ出掛ける機会が多くなったことは否定できませんが、こういった人達こそ海に対して無知のまま「海は我がもの」とばかり、ルールを無視して行動するものが目立ちます。

万人のものである海から、ルール無視の無法者を締め出して明るく平和な海を守っていくためには、小型船安全協会会員の皆さんが率先して関係法令の遵守・安全知識の高揚を図るとともに、これから海に出ようとする人々に対しても「海は皆のもの」の先輩として必要な事項について助言、指導する等一層のご協力をお願いしたいものです。

 

海上運送法の改正について

 

総トン数5トン未満の小型船舶(旅客定員12人以下の船舶)等で人の運送を行う海上タクシーなどを営むものに、安全・利用者保護規制が平成12年10月1日から適用されることとなりました。

主な手続きは次のとおりとなっています。

1] 事業の届出

2] 運航管理規定の作成、届出

3] 運航管理者の選任、届出

4] 運賃、料金並びに運送約款の公示

5] 船客保険の契約

なお、これらの手続きを行わない場合は、罰金を課せられる場合があります。

詳しいことは、中国運輸局輸送課(082-228-3679)

四国運輸局輸送課(087-825-1179)

または、最寄りの海運支局にお問い合わせください。

 

 

 

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