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平成12年度全国海難防止強調運動の実施結果等について

 

第六管区海上保安本部は、平成12年7月16日から7月31日までの16日間にわたって全国海難防止強調運動を実施しました。

この運動は、海事関係者をはじめ広く国民に対し、海難防止思想の普及及び高揚を図り、もって海難の発生を防止することを目的とし、「海難0への願い」をスローガンに、官民一体となった全国的な運動として毎年実施しているものです。

今年度の運動は、「乗揚げ海難の防止〜ストップ・ザ・乗揚げ」を重点事項として、各種行事や安全運航に関する指導など左記のとおり多彩な活動を展開しました。

今後もこのような運動を実施していきますので、よろしくご協力をお願いします。

 

1 実施結果

(1) 各種行事(体験航海、港内パレード等)

海事関係者、小型船安全協会関係者、一般市民を対象に47回(参加人員3,177人)実施した。

<主な内容>

7月20日徳山海上保安部は徳山下松港にて巡視船等による海上パレードを実施した。

(2) 安全運航に関する指導

貨物船、危険物積載船、旅客船、プレジャーボート等各種船舶を対象に1,036隻実施した。

(3) 企業訪問

危険物基地、マリンレジャー関係団体等を訪問し、海難防止指導を121回実施した。

<主な内容>

7月17日岩国海上保安署は岩国港にてミス岩国・ミス大竹を一日海上保安官に任命、岩国市尾津沖の愛岩山地域開発事業造成工事建設所を訪問し、海難事故防止の協力を求めた。

(4) 安全運航総点検

旅客船、危険物積載船、木材運搬船、海上工事・作業現場等に対し、安全運航総点検を42回実施した。

<主な内容>

7月17日尾道海上保安部は市内に勤務する女性2名を一日部長・一日巡視艇船長に任命、尾道港に着桟していたフェリーを訪問し、同船の書類・救命胴衣等の点検を実施した。

(5) 海難防止講習会等

一般市民、海事・漁業関係者等に対し、海難防止講習会等24回(受講者1,169人)実施した。

<主な内容>

7月30日高松海上保安部と香川県地区小型船安全協会は高松市屋島東町の屋島少年自然の家で親子海洋教室を開催した。

(6) 合同訓練

海上保安庁と小型船安全協会等による各種訓練8回(参加者457人)実施した。

<主な内容>

7月26日徳山海上保安部は上関港沖で上関町や山口県水難救済会上関救難所等と合同により船舶火災が発生したとの想定で旅客船事故対策訓練(消火訓練、乗客の救助訓練等)を実施した。

 

2 運動期間中の要救助海難の発生状況

運動期間中に第六管区海上保安本部管内で発生した要救助海難船舶[救助を必要とした船舶]は20隻(18隻)であり、昨年度の同期間中より2隻増加したが、死亡・行方不明者はなかった(1名)。

(1) 海難種類別

乗揚げ4隻(5隻)、衝突3隻(7隻)、機関故障3隻(2隻)、火災2隻(0隻)、浸水1隻(1隻)、推進器障害4隻(1隻)、その他3隻(1隻)が発生し、乗揚げ海難については昨年度の同期間中より1隻減少した。

(2) 用途別

プレジャーボート等14隻(11隻)、貨物船2隻(3隻)及び漁船2隻(2隻)が上位を占め、プレジャーボート等が最も多く期間中に発生した要救助海難の約7割を占めていた。

* 括弧内は昨年度の同期間中の数字を示す。

 

3 運動期間中の主な海難概要

(1) 貨物船と漁船による衝突事故(1名負傷)

貨物船(470トン、4名乗組)の操船不適切と漁船(12トン、1名乗組)の見張り不十分により衝突、貨物船は船首部に擦過傷を生ずるも浸水はなかったが、漁船は沈没し、漁船船長が手首に負傷したもの。

(2) 遊漁船による防波堤への衝突事故(4名負傷)

該人(男性、59歳)は遊漁船に他3名を乗せ出港し、防波堤通過の際、乗船者と雑談をして前方の見張りを疎かにしたため。そのまま防波堤先端部に衝突し、乗船者全員が負傷したもの。

(3) プレジャーボートによる花火大会見物後の浅瀬乗揚げ事故

船主船長である該人(男性、57歳)はプレジャーボート(1トン)に他2名を乗せ、花火大会見物後の帰港中、同人の見張り不十分により浅瀬に乗揚げたもの。

(4) プレジャーボートの飲酒・居眠り運航によるカキ筏への乗揚げ事故

該人(男性、48歳)はプレジャーボート(4m)に、人で乗組み遊漁のため出港、仮泊時、缶ビール5本(350ml)を飲酒し、酔ったまま定係地向け出港したところ、疲れと酔いから居眠り運航のままカキ筏に速力30ノットで乗揚げたもの。

(5) ウエイクボード曳航中の負傷事故(右大腿部骨折、全治3ヵ月)

該人(男性、39歳)は、水上オートバイに曳航されてウエイクボードを開始した直後に自己過失(操作技術の未熟)により転倒し、負傷(右大腿部骨折、全治3ヵ月)したもの。

(6) バナナボート曳航中の負傷事故(右目下部骨折、全治1ヵ月)

該人(男性、32歳)は友人と共にバナナボートに乗り遊んでいたところ、付近通航船の航走波でバランスを崩し、海中に投げ出された。その際、該人の右頬部に前部に乗っていた友人の側頭部が当たり、該人は右目下部骨折による全治1ヵ月の負傷を負ったもの。

(7) ゴムボートによる飲酒・手漕ぎ中の転覆事故(1名溺死)

該人(男性、52歳)は昼食時に飲酒(冷酒3合、ビール350ml×4本)後、知人と共にゴムボードに乗り沖合い向け漕ぎ出した。オールが流れそうになり、該人がこれを取ろうとした際、ゴムボートがバランスを崩して転覆し、両名が海に投げ出され、知人は助かったものの該人は溺死したもの。(以上)

 

 

 

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