(3) 遠近問題
前述の4.2項試験結果(3)遠近問題に示される様に、APLの信号レベルの62dB(図5-19で72dB〜10dBの変化に相当)の変化に対しても擬似距離精度の変化は僅かであり、GPS受信に顕著な影響を与えることはなかった。
また、C/N0の劣化についても図5-20から分かるようにAPL信号を加える前は44.7dBであり、加えた後でも44.2dBであった。この様にAPL信号の62dBの変化に対してC/N0は0.5dB程度の劣化であり、C/N0のデータからもAPL信号がGPS信号に大きく影響を与えていないことが分かる。
(4) APLクロック
4.3試験項目(その2)APL時刻同期精度に記述するように使用したルビジウム及び水晶発振器0CX0での時刻ドリフト比はそれぞれ0.07m/秒、0.81m/秒であった。
将来の実機の製造にあっては、今後のICA0、RTCAの規格の制定での要件策定をみながら適切な発振器を選定することになる。
(5) 高カテゴリーII/IIIの対応について;
ICA0 GNSSPで検討されているカテゴリーII/IIIの位置精度は下記で表される。
上記の表からも分かるように水平面内誤差は垂直面内誤差に比較して誤差の規格が緩いこと並びに、通常HDOPに比較してVDOPの値が悪いことから、垂直面内誤差を満足するためのAPLに許容される擬似距離誤差により、精密進入のカテゴリーの種別とAPLの擬似距離誤差の関係について記述する。
上記の規定の位置誤差に相当する擬似距離誤差は下記となる。
擬似距離誤差:カテゴリー2:1.13m(1.13m=1.7m/VDOP)
カテゴリー3:0.53m(0.53m=0.8m/VDOP)
となる。