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なお、学童保育所の親同志のコミュニケーションもうまくいっている場合が多く、現在崩壊していると言われている地域社会の済世にも役立つと思う。

2] 兵庫県教育委員会の大英断でスタートした「トライやるウイーク」は今や全国的に拡がり、各地で小規模ながらも実施するところが増えている。兵庫県のシステムは、県内の公立中学2年生全員が、1週間地域に出て体験活動を行うもので、これは正に中学校版インターンシップ、或いはボランティア体験と考えて良いと思う。

実はトライやるウイークには不登校生も多数参加し、その内1/3が体験後、学校に復帰をはたしている。つまり学校には行けないけれど、学校外の体験活動には参加できるし、そこで様々な人に接することで、他人とのコミュニケーションスキルを得て、学校でも友達と仲良くできるという自信になり、復帰できるものと思われる。

とすれば、この「トライやるウイーク」は、数字には表れないが、不登校予備軍の予防にも、かなり役立っているものと思われる。1]2]に共通して言えることは、子どもの成長に欠くことのできない「子ども同志のかかわり」とともに、「地域の大人のかかわりや支え」が得られる場を設けることによって、不登校のみならず、様々な子どもの問題解決が図れる気がするのである。

 

(6) 不登校生の親の相談を多数受けていて気がつくことは、「親がもう少し子どもとのコミュニケーションをうまくとっていてくれたら」「子どもの気持ちをもう少し理解していてくれたら」ということである。

当然、親は「子どもの将来のために」「子どものことを考えて」という思いから、「○○しなさい」「○○してはダメ」という、強制、命令、禁止の声を発し、それに従わないと、脅迫という方法もとるのだと思う。しかしこれでは子どもから素直に従い、行動するということは少なく、しかたなく服従するか、反発、拒否の方向に進み親子の間に大きな溝や心のずれが生じてしまう。また、命令、強制、脅迫にさらされていると、自主性、自信を失い、受身の人間になっていく。

そして自分の思いがいつも否定されているというストレスが嵩じて「きれる」状態にまで進むのではなかろうか。逆に、一部のカウンセラーが言う「何でも子どもの希望に沿ってあげなさい」ということでは、単なる甘やかしで、何の解決にもならないと思う。そこで子どもと正面から向き合い、子どもの意見や考え方、行動の根拠に耳を傾け親としての考え方とその理由も、はっきり、しかも子どもに理解できるように話す必要がある。この子育ての基本、家庭教育の基本を身につけていない親が多いと感じられる。

本協会には、この「子育てセミナー」的な話のできる講師候補もいることから、今後この種の予防を考えたセミナーの実施も考えたい。

 

 

 

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