第二章 考察と今後の課題
1. 考察
(1) 我が国は今後生産年令人口が不足するので、人生の途中で一時的にレールを外れた人も、社会参加しないと、生産活動が停滞してしまう。(外国人に頼るという話もあるが)もし、彼等がそのまま生産活動に参加せずに、消費するのみの人生であれば、この社会と彼等の親は2倍の負担を抱えることになる。シンポジウムに参加した親も異口同音にそう語っていた。我々は彼等が社会参加する気になった時にすぐ対応できるように、今から各方面に協力依頼する必要がある。
我々は「挫折者も受け入れる社会が豊かな社会」だと考える。そこで今後は中退者・不登校経験者等の当事者はもとより、彼等を社会に送り出す教育機関と、受け入れる地域社会の企業や福祉施設等のコミュニケーションが必要で、双方協力してインターンやボランティア活動にもっていくことが重要である。
教育機関には、単に高卒や大検合格という学歴や資格の取得だけでなく、職業実習的なカリキュラムが必要となる。一般の高校や大学でも、卒業後のフリーターを減らすためにも、職業教育、起業家教育が必要となろう。更に大学、短大、専門学校という高等教育機関には、少子化の影響で定員に余裕があるなら、高等教育を受けたいと希望する彼等には、広く門戸を開いて迎えてほしい。
(2) 特に対応の難しい「ひきこもり」に対しては「オレンジの会」のような親の会と「パドック」のような先輩の会を各地に組織し、気持ちが通じる人達が対応する形にしたい。アドバイザーとしては、当協会相談員を始め、池上氏(北海道)、矢吹氏(東北)高橋氏、松田氏、藤原氏、工藤氏(関東)、三島氏(関西)、河野氏(中・四国)、廣谷氏(九州・沖縄を中心に全国)にお願いしたい。又、ひきこもりの人は、精神力、体力共に不足している場合もあるので、社会参加のためのウオーミングアップ(インターン)期間が必要である。その点、本事業の研修期間の1日では不充分で、3泊4日程度の宿泊研修が必要と思われる。
(3) 親の責任は、子供を精神的に自立・自律させ、経済的にも自立させることである。我が子が不登校になった時、親が「わらをも掴む」気持ちになることは理解できる。しかしそこで子供の現在と将来のために、誰に、どこに相談するべきかを冷静に判断する必要がある。ところが不登校未経験者の親にとって、自分だけで解決するのは、かなり困難である。当協会を含め、適切な相談機関に相談することをお薦めする。