4. センターリンクの戦略的目標と達成度
センターリンクでは、顧客とのパートナーシップ、カスタマーとコミュニティ、センターリンクの職員、コスト削減、革新の5分野について、戦略的目標を策定している。それは、政府サービスの提供に際してファースト・チョイスであること、政府の業績期待に合致すること、すべてのサービスセンターにおいて優良なカスタマーサービスを達成すること、利用者によるセンターリンクヘの積極的な関与と促進、顧客のアクセスを容易にし、意思決定とナレッジマネジメントをサポートする先端技術の確保、センターリンクがオーストラリアにおけるサービス提供のモデルになること、そして地域コミュニティを強化することでオーストラリア全土における認知を確立すること、とされている。
そしてセンターリンクの活動方針として「品質第一主義(Quality First)」を掲げている。それは、1]すべての活動が顧客重視であること、2]組織を通じて強いリーダーシップを発揮すること、3]職員参加を最適化するため、チームワークの組織をつくること、4]センターリンクのあらゆるレベルで統合的な顧客サービス改善計画を策定し、審査サイクルを回しながら「戦略フレームワーク」に連結させること、5]戦略的なバランス・スコアカードを作成し、業績を測定することであり、それらは業務改善への集中と、あらゆるレベルの組織内部におけるコンスタントな学習と革新をサポートする「文化」を発展させることで達成できるとしている。
なお、1998−99年度の年次報告書では、戦略目標と達成できた成果を表4のようにまとめている。
また、センターリンクでは、新しい“purchaser-provider関係”が提起されている。センターリンクも外見的には、政府の省が政策の開発を行い、エージェンシーがサービスを提供するという単純な“purchaser-providerの分離”にみえるが、両者の関係はより相互補完的なものである。すなわち、一般的なアウトソーシングにみられる「法手続的契約型(legal contractual framework)」ではなく、「戦略的協働(strategic partnering)」のアプローチが採用されている。これまでオーストラリアでは、情報技術サービスのアウトソーシングや公営企業の民営化が、政策とサービス提供を切り離して経済効率性を高めるための手法として採用されてきた。しかしながら、センターリンクは個別の法律によって設置されるものの、省とセンターリンクの関係には、事業契約上の関係だけでなく、戦略的な協働という目標が設定されているのである。この点で、オーストラリアのモデルは、ニュージーランドやイギリスと異なるといえよう。