(出典) James R. Thompson, "Reinvention as Reform: Assessing the National Performance Review," Public Administration Review, Vol.60, No.6, 2000, p.509のTable 1と、p.511のTable 2を1つの表にした。
PBO改革は、第2期と第3期の改革目的と関係があるといえるが、そのうちとくに関係が深いと考えられるのは、「エージェンシー内部権限の分権化」(第1線管理者に対する人事、調達、予算の権限委譲)である。後でも触れるように、実際にPBO化に成功した事例がほとんどないため、この評価データだけでは不十分である6)が、少なくとも、PBO化の形態をとらない組織改革においては、「エージェンシー内部権限の分権化」についての評価は功罪相半ばしている7)。
国際比較とガバナンス改革の視点からNPRを評価し続けてきたウィスコンシン大学のドナルド・ケトル(Donald Kettl)は、NPRが誕生して5年目に当たる1998年9月時点で表2のように評価した8)。
全体の成績はBであり、比較的好意的な評価といえる。また、NPRの努力自体はA+であり、NPRの活動を最高に評価している。努力しているが結果を伴わない、ということだろうか。PBO改革に関連するカテゴリーは、業績改善と、そこに含まれる「高インパクト」プログラムにおける結果の改善あたりであるが、それらの評価はC+と低い9)。コメントでは、NPRと政府業績結果法(Goverment Perfomance and Results Act: GPRA)との関連性の薄さがポイントとされているが、この点に関連して重要と思われるのが、GPRAを成立させた議会との関係がDと最低の評価である点である。