その結果、行政改革会議最終報告では、経済産業省の機能・政策のあり方については、
「・経済構造改革の推進
・産業政策:個別産業振興的施策、産業間所得再配分的施策の撤退・縮小と市場原理の尊重。市場ルールの策定・整備や知的財産権保護、技術開発といった業種横断的政策への重点化、円滑な産業構造転換の推進
・通商・貿易政策:新たな国際経済秩序の形成への積極的貢献(地域・多国間スキームの形成)。国際的な産業調整の展開
・地域振興施策:地域の役割の強化、国の関与の縮小…」
など、新たな政策官庁としての省庁横断的な役割への期待が盛り込まれ、さらに、経済産業省設置法(平成11年7月16日法律第99号)では所掌事務の一つに「民間の経済活力の向上を図る観点から必要な経済財政諮問会議において行われる経済全般の運営の基本方針の審議に係る企画及び立案への参画に関し、所掌に係る政策の企画を行うこと」(第4条二)と、財務省の牙城ともなっていたマクロ経済政策にも関与し得る橋頭堡をえたのである。また、改正国家行政組織法第15条で「各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の任務を遂行するため政策について行政機関相互の調整を図る必要があると認めるときは、その必要性を明らかにした上で、関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求め、並びに当該関係行政機関の政策に関し意見を述べることができる」という条文が盛り込まれたことによって、これまで他省庁の政策に注文を付けてきたことにも法的根拠をえたのである。
このように、省庁横断的な、新たな政策官庁を目指す経済産業省への脱皮の過程で、2つの非公務員型独立行政法人が誕生することになったのである。
(2) 行政改革会議と通産省 ―非公務員型独立行政法人誕生の経緯
表1は、行政情報総合クリアリングシステムでのキーワード検索により、行政改革会議議事録および関連の審議会等の議事録から、経済産業研究所(通商産業研究所)と日本貿易保険(貿易保険)に関する審議事項を検索し、時系列に整理したものである。