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1) 超軽量コンクリートを使用することにより、浮体構造物重量を小さくできる。このため、浮体構造物の高さを減少させることができ、物量低減が可能である。

2) 同様な理由から、係留力を低減することができる。

3) 上記1)、2)の結果、全体として6〜10%程度(従来比)の工費低減が期待できる。

 

(5) 簡易係留装置の理論的検討

アーム式係留、ブリッジ式係留及びリンク式係留を中心に、その成立性について理論的検討を行い、次のような結果を得た。

1) 上記の3種類の方式の内、リンク式係留にばねを付加したリンク・ばね係留方式及びこれを更に改善したヨーク・ばね係留方式が成立性の高いことが判明した。

2) ヨーク・ばね係留方式では係留力を小さくすることができ、簡易係留方式として有望である。

 

(6) 超軽量コンクリートの施工試験

超軽量コンクリート(比重1.4)、軽量コンクリート(比重1.8)を対象に、浮桟橋の側壁を想定した模型による施工試験を行い、次のような結果を得た。

1) 超軽量コンクリート、軽量コンクリートとも十分な充填性を有することを確認した。

2) 充填したコンクリートの強度は、目標値を満足することを確認した。

 

(7) 係留装置の水槽試験に必要な技術要素の抽出、水槽試験計画

ヨーク・ばね方式の係留装置の性能検証試験(水槽試験)の模型、試験条件の検討を行い、次のような結果を得た。

1) 模型縮尺を1/16に設定し、水槽試験計画を立案した。

2) 実機の特性を模擬できるように、岸壁を考慮し、岸壁と浮体構造物間の距離を変更できるようにする。

 

本年度の研究成果として、超軽量コンクリートの浮体構造物への適用性、適用のメリット等を検討し、浮体構造物本体の軽量化が可能であり、これに伴う係留力の低減等が可能になるとともに、工費の低減が期待できることが判明した。また、簡易係留方式として、ヨーク・ばね係留方式という新しい係留方式を提案した。次年度では、本年度の成果を基に、超軽量コンクリートを使用したコンクリート部材の力学特性等を明らかにし、施工性、耐久性との対応を見据えた設計手法にまで言及する所存である。ヨーク・ばね係留方式については、水槽試験を行い、その性能を検証する所存である。

これらの研究を基に、より経済的な浮体構造物及び係留装置の実現に向け、より一層の努力をしていきたいと考える。

最後になりましたが、委員会においては、清宮委員長をはじめとする各委員の方々に活発な御意見・御助言をいただき、大変熱心に御指導していただきました。ここに厚くお礼申し上げます。

 

 

 

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