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それから、変化しながら動いている自然界とか、人間社会のリアルなダイナミズムをフォローするということが大切であります。

それから、年間を通しての自主学習であるメリット、これは大きいですね。何かというと、具体例とないとわかりませんので、海からちょっと離れた例に見えながら、関連があるのは、イチョウを考えてください。イチョウはどこにでもあります。必ず教材にできます。やっていらっしゃる方もあると思いますけれども、例えばバイローブ。葉が2つに分かれているから2つのローブからなるという学名がついているんですが、この木を観察しますと、裸の今の冬の姿から、芽吹きがあって、美しい幼体が出てきますが、これがおもしろい。スパイラルで出てきます。くるっと巻いたコーンのような形で出てきます。それが出てきたのが分裂が少なくて、ほとんど2つの葉が見えなくて、東京都のマークは、あれはちょっと古典型の古いタイプのイチョウの葉っぱで、東大のマークもそうですから、生きている化石かなと言われているんですが。(笑)それがあります。それから、過剪定、つまり剪定をやり過ぎた街路樹ですよ。これから出てくる若芽は葉が大きくて、多列で、5本にも6本にも分かれている葉が出てきます。先祖返りです。ということから、生きている化石の展開がわかりまして、実がなって、葉っぱが黄色くなって、落っこちて、それを食べると。そういうシリーズがずっと見えます。

ところが、そこから展開があって、これをルーペで見ますと、葉脈はきれいな二鎖型、2つに分かれ2つに分かれという、グラディスティックスのようなきれいな分岐です。これは実は植物の基本でして、この形はコケにもあります。海草にもあります。シダにもあります。全く同じパターンがシダにもあります。つまりイチョウがシダの仲間であるということが非常によくわかります。ということなんかに、例えば展開していただくと、海のものともつながる。つまり、下等なものから、言い方はよくないんですけれども、単純なものから複雑になっていくという1つのプロセスであることがわかります。

その中に、今度は日本の誇りですけれども、植物でも精子を持つものはソテツとイチョウですけれども、これは日本人の世界的な発見なんですけれども、ノーベル賞ももらっていませんし、だれも、このごろは言ってくれませんけれども、非常に大切なことですよね。そんな話もできるし、生きている化石から……。

皆さん、イチョウの葉っぱを栞になさった方はいらしたら手を挙げてみてください。わずか数人、10人に足りない。ぜひ、これは栞に使ってください。きれいなだけじゃない。虫よけになるんですよ。アルカロイドが入っていて、虫がつかない。イチョウの木に虫がついたという例はご存じないと思います。ただ、ある種のカビは生えます。それはニッキです。それから、銀杏にかぶれる方は多いですよね。これはアルカロイドで同じです。というような話から、生活に結びついて、それから樹齢が200年でやっと若木の段階が終わるということはあまりご存じのない方が多いようで、そんな話も、イチョウの話を植物園に聞くと、たくさんあります。

 

 

 

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