日本財団 図書館


写真52の沖にぽつぽつ黒く見える点は何だと思いますか。オットセイじゃなくて、これはサーファーです。老いも若きもたくさんの人が、サーフィンをしているのです。波がちょうど屈折し、白波が砕けるところにたくさんの方が波乗りをしているのです。実は、岸側では、たくさんのおばあちゃんから、若い者らがそれを見ているのです。そういう海のリクレーションの仕方も全然日本と違うのです。ですから海にまつわる色々な物事の考え方が、あまりに日本は貧困じゃないかなと思います。

写真53の真ん中に座っているのは私です。私は別名、海岸探偵団長と言います。つまり多くの人と−−今日は皆さん、きれいな部屋に座っているでしょう。そうではなくて、みんなで海辺を歩こうと。ここには大人ばかりいますが、これは別に子供を排除するとかというつもりは毛頭ありません。男の人ばかりいるのは、滋賀県の土木部の人々と琵琶湖を歩き回っているためです。その時に、皆どういうわけか理屈ばっかりこねているのですよ。それでいて実際を知らない。だから、すごく単純なこと、この砂はどっちから来て、どこに行くの? とかという質問をすると、うっ……となってしまうのです。そういうのをどうしたら解決できるかというと、やっぱり実地に自分で触って、例えばさっきの清野先生の干潟だったら、長靴を履いて入っていくことが必要なのです。たまには長靴の上からも水が入ることもあります。でもそういう経験をしないうちに、干潟が分かったと言うのはおかしいです。干潟というのは、こういうものだとか、干潟の生物はこれこれしかじか、種が何属。そういうことばかり言って、リアル感がないものですから、どうもおかしくなります。時間はかかるかもしれませんが、環境学習というのであれば、老いも若きも興味の対象を絞って、色々な所に出没して、色々なものを自分で触って見てみようと。そういうことを少しでも皆さんのほうからプッシュしていただければ大変ありがたいというか、そうしないと、日本民族は、少なくとも海洋について考えると没落の道を進むことになってしまいます。まだ皆さんは信じられないかもしれませんが、その端緒は幾らでもあるのです。無関心とか、ごみを捨ててしまうとか、海浜をコンクリートで覆ってしまうとか。そういう事を今一度、「正しき道」と私が言う資格はありませんけれども、そういう方向で皆様、ちょっと考えていただきたい。

今日は、ちょっと時間の関係で、雑ぱくな話ばかりしましたが、いずれ機会があったら是非海岸へでかけましょう。歓迎します。インターネットで流しますので。そこで、是非リアルな体験をしていただきたいと思います。

(拍手)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION