防波堤延長の経緯
宇多 ここは砂の堆積で海岸線が最大約330m前進した場所で、とにかくものすごい量の砂がたまっていて、今もたまりつつあるところです。まるで時代劇に出てくるような荒涼とした殺風景な場所です。日本ではこういう砂丘地というのはほとんど消えてしまったので、むしろこういう海岸は珍しくなっています。
ここは膨大な量の砂がたまる一方で、仕方ないから取りあえずこういうブロックの製作ヤードにしているんです。だから一般の人はほとんど来ない。
ここ片貝漁港での砂との闘いを説明しましょう。まず防波堤を伸ばす。するとここみたいにだんだん砂がたまるでしょう。だからもっと深い沖まで防波堤を伸ばすでしょう。そうするとまたたまる。さらにもっと伸ばす。ということで、結局同じことが何度も繰り返されている。だから、漁港をつくるほうの立場からすると、非常にやっかいなことになるんです。
そうして、もともとの海岸線から砂丘が沖合方向に最大が300m延びて、300m×4000mの3角状の広大な土地が出来上がった。それで、今度は風が吹くと飛砂によって砂丘が出来る。植生が生えるとある程度固定化されるんですけど、それがないところはどんどん飛ばされるということです。