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砂に囲まれた海食崖

 

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バーム

 

宇多 目の前にある小山、海側は完全に崖で波で削られた姿です。その前には砂がたまっていますけど、これは防波堤によって砂がたまったため、現在はこういう景色になっていますが、実を言うと、あそこが直接波で洗われる時代があった。削られた後に砂浜ができたから、今見ると、何であんなところに崖があるんだろうという姿になっています。それから、その後ろの高い、40〜50mぐらいありそうな崖も同様です。

 

砂浜の話をしましょう。我々が今立っている砂浜、何の変哲もない砂浜ですが、ここには非常に多くの特徴があります。この小高くなった部分をバームといいます。いま、ちょっと濡れていますが、これは満潮時にここまで波が打ち上がっていたからで、小高くなった部分を越えた海水は奥側の低まった部分に流れ込みます。そのときに、砂は侵透性が非常にいいために、すっと水が侵透して消えていく。

その過程でこの辺にどんどん砂を置いていくので、小高い部分が出来る。

 

水というのは物理の原理に基づいて流れるので、打ち上がった水のうち砂にしみ込んで海に戻るもの、表面を流れて戻るものの2つあります。

だから、例えば人工的に砂浜をつくろうというときにはその辺を良く考えて設計をすべきなんですが、砂浜というのは陸に向かって一定勾配で上がるものと短絡的に考えがちなんです。でも実際にはそんな単純な砂浜というのはありません。海辺からちょっと歩いていただけば、必ず小高い部分があって、その後低くなって、一たん平坦になって、また陸に向かって上がってくるんです。それが、人工海浜は勾配を滑り台のようにつくる。でもそれでは現実と全く違う姿なんです。

 

 

 

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