夷隅川河口の沖合いに見える離岸堤は、波打ち際から100〜150mほど沖に消波ブロックを積み上げて波を消すものです。長さが1つあたり100m、開口幅が50mぐらいで、1ヶ所で使う消波ブロックの数が約3,000個です。これが全国で約6,000ヶ所ぐらい入っています。
今まで離岸堤は、要は波を消せばいいだろうという単一目的で設計しましたから、それには立ちはだかるような構造物をつくって波を消せばいいという考えでやってきました。
しかしその結果、沿岸漁業が衰退するという別の問題が生じて、結局今は、1つの目的で突っ走るのはおかしいという論理が出てきて、離岸堤の例を挙げれば、水面下に没した人工的な磯をつくって波を消す、そして水面下の岩にはできるだけ天然の岩を使うようにして、そこに魚介類がつけるようにしようとか、いろいろな工夫が行われている最中です。ただ、それをやって本当に効果があったのかという点についてのチェックはなかなか難しいのが現状です。つまり、いくらそこで魚が増えたとしても、他の場所から集まって来ただけで、その海域全体の量が変わらないのであれば、1ヶ所に集めるだけで何の意味もないという意見もあるわけです。何せ相手が動き回る生き物ですから、調査が難しいのが現状です。
でもここ10年ぐらいは、海岸保全をやる人も、沿岸のことをきちんと考えようという方向にあります。
離岸提
漂砂が少なくなり海岸侵食が深刻になった現在、波による侵食から砂浜を守るため、強い波が海岸に直接作用しないように汀線から100〜150m程度の沖合いに、海岸線と平行に消波ブロックを積み上げて造った消波堤のこと。