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海食台

波の侵食作用や堆積作用によって、低潮面(大潮の平均低面)よりも水面下に形成された平坦な地形。

 

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海食台に立つ波

 

今、崖の目の前に白い波が連続的に立っていますが、白い波が立つということは、底が浅いということで、あそこの波が今、1m50cmぐらいの波高ですが、水深はざっとその2倍です。そうすると、水深はせいぜい3mとなります。つまり目の前の海の底は全部平べったい、正確に言うと、海食台というんですけれども、そういう地形が海底にずっと広がっているわけです。これは別に海に入らなくても、ここから波を見るだけでわかる。

 

それから海の色、今、指摘があったんですが、結構濁っています。ここから削られた土砂は海に流れ落ちるのですが、落ちた後、泥と砂分に分かれて、0.15mmくらいの非常に細かな粒径のものは非常に広い範囲で濁って拡散して沈殿します。今日の波というのは、7秒、8秒の周期波ですが、この程度の波だと大体水深10mぐらいまでの水をかき混ぜています。この沖の底質は沈殿した泥分ですから、非常に容易に海底の泥が撒き上がる。砂分ももちろん含んでいます。砂分は、後で詳しく説明しますが砂浜となり、やがてこの平野をつくっていったのです。

この沖合は、水深10mぐらいを境にして、それより岸辺の浅いほうには貝が非常にたくさんいる。沖合の深いほうには、また別の貝がいる。そこら辺が大体、泥と砂の分かれ道で、ゆっくりと砂が漂っているわけです。その漂っている空間に魚介類がちょうどうまく生育する空間があるわけです。それが先ほど清野先生からお話しがあったように、泥の供給が途絶えていますので、おそらく生物への影響が出るのではないかということが危惧されています。この問題は定量的な証拠というのが非常に難しいので、地形全体と生物との関係というのはよくわからないのが現状です。

 

 

 

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