陸域、海域をどちらの方向にするかというのは地方自治体が中心となって決めるんですけれども、ここでいう地方自治体というのは必ずしも行政だけでなくて、多様な主体が参画する協議会みたいなものを設けて、そもそも計画自体を策定するという仕組みになっております。こういうような体制で、沿岸域管理のための計画を策定するための指針をことしの2月に策定しておりまして、現在幾つかの地域でそういった取り組みが進んでいるという状況でございます。雑駁ですが。
エノック:フランスの状況についてでありますが、今分散化が進んでいます。これは92年に定められた地方分権法です。これはとても重要だと思います。集中化が進んだ国において分散化というのは非常に画期的なことです。これは自治体にもっと権限を与える、つまり権利を自治体に与えるということでありまして、それによって自らの土地利用計画は自治体自らが決めることができる形になりますから、これはとても重要な法律と言えましょう。時にはこの土地利用の計画といったものは地元で、現地でつくるわけですが、これは自治体がみずから管理する。しかし、時にはそれが国の政策と反することもあるわけであります。
1つ、沿岸域法についてお話ししたいと思います。沿岸域法というものは86年に施行されたものであります。基本的には土地利用計画法という形でありまして、実質その中身は都市の拡大を規制するということ、それを沿岸地区で実行しようということであります。実際、いろんな葛藤、紛争がそこで生まれているわけであります。特に地元の自治体と土地利用計画における葛藤があります。現状はそういう状態です。多くの市町村などは今この沿岸域法の改正を求めています。法律が余りにも強制的だと特に自治体、市町村の方からの声が上がっているという状態です。
清野:どうもありがとうございます。大きいアクトを決めても、実際、地方がどうやってそれに応答してくるかということを、どのくらいのタイムスパンで考えればいいのかということを先んじている国から教えていただければ、日本でもなかなか進まないことに苛々しなくても済むのかなと思います。実際、国土庁さんでつくられても、やはり私が各県へ行くと本当に1つの河川の河口の管理すらできない。全体では何十年かかるんだと苛々することがあるんですね。ですから、そういう国のグランド計画と地方の応答のタイムスパンをまた国際比較することで、日本をぜひエンカレッジしていただければと思います。ご回答ありがとうございました。
寺島:どうもありがとうございました。確かに我慢強くやらなければいけないと思いますが、それにしても何かやる場合に、いろいろな道具といいますか、いろんな利害を調整していかなければいけないので、ビジョンを示すこととか具体的な考え方ややり方を示すことも必要でしょうし、先ほど清野さんが言ったように、そういう人材を育成するようなことも必要でしょう。もう1つは自治体がまずやる気になるということ。実際にいろんな調整をするのは、やっぱりローカルな自治体レベルの話になるんだろうと思うんですね。ですからそういうことも含めてやることがたくさんあると思います。