「海は誰のものか」というのは、これは以前に別の会議で多屋さんがお話をされまして、大変面白いと感じまして入れた項目でございます。要は海は誰のものかがはっきりしていないと、海洋の管理という基本的な認識がはっきりしないということになるんではないだろうか。また、海洋法条約では、公海につきましては人類の共同財産だ、コモンヘリテージだと言っております。では、それ以外のところはどうなんだろうか。例えばカナダの海洋法は、これは女王陛下に属するというふうに条文で書いてありますし、前文ではこれはカナダ全国民のコモンヘリテージだと書いてあります。
それから「海洋管理所管大臣」はあるか、法律レベル、非常にハイレベルでの「海洋行政連絡調整会議」はあるか、「海洋管理事務局」はあるか、あるいは「広範な利用者の意見を反映する手続」があるか。実は、海は誰のものかという項目は、ちょっと後で気がついたんですが、6番と10番というのは並べておいた方が良かったのかなと思いました。
あとマリンサンクチュアリーとかマリンプロテクテッドエリアという言葉で言われている「海洋保護区」の問題、それから「沿岸域管理法」の関係。
最後に、これもちょっと思いつきで、「沿岸域管理における法的な管理範囲」ですね。例えば日本の海岸法の場合には、海岸保全区域というのは海陸両方向に50メートルという非常に短い区域ですが、それではなかなか一体的な沿岸域の管理というのは難しいのではなかろうかという感じもいたしまして、そんな項目も入れてみました。
日本の項目の書き方については、あるいはご出席の皆様方から異論が出るのではないかという感じもしておりますが、あえてどちらかというと問題ありという視点で表をつくらせていただきましたので、この辺はまたご意見をいただいて、報告書にする段階ではもうちょっと正確なものにいたしたいというふうに思っております。本日の議論の参考にしていただければということで配らせていただきました。
それでは、討論に入りたいと思います。どなたからでも結構でございます。我が国における海洋管理について何が問題か、何をなすべきか、あるいはもうこんなところまでやっているというようなお話もあろうかと思いますが、ご発言いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
来生:来生でございます。先ほどの横内先生の漁業権の質問と栗林先生のご回答に関連してなのですが、そもそも日本の沿岸域の管理にとって漁業権が非常に大きな問題だというご指摘だったのですが、漁業権のどこがどのように問題だとご認識されているのでしょうか。その最大の問題が何で、栗林先生のご回答は総合的な沿岸域管理のメカニズムの中で漁業権を考えるというご回答だったのですけれども、問題の一番重要なポイントがどこにあって、それが総合的な管理とどう関わるのかというのが、先ほどのお2人の時間の短いやりとりの中では必ずしも私には十分認識できなかったものですから、そこをもう少しご説明いただけたらと思うのです。
横内:ありがとうございました。漁業権には、法的な問題と慣習的な問題もあると思うんです。