寺島:ありがとうございました。
最後に多屋先生からは、ご本人から直接お願いします。
多屋勝雄 エノック先生に質問したいのですが、日本ではダイオキシンの摂取が非常に問題になってきまして、日本人の場合は魚をたくさん食べるものですから、魚からダイオキシンの60%を摂取しています。その場合、もともと20年、30年前に農薬で使われたものが川をつたってプランクトンの中に入り、食物連鎖で魚の中に入ってくるというメカニズムがあるわけです。こうした有害物質に関して水の管理はどのようなことを考えておられるか。あるいは、まだ計画はないかもしれませんが、個人的にはこういう問題はどう対処されたらいいのか、その辺のお考えをお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。
エノック:ありがとうございます。私はダイオキシン等の問題の専門家ではございません。しかし、1つ言えることは、我々の活動を通して、例えば汚染物質全部を考えてみますと、特に水域を通して、そしてこの海に流れ込むすべての化学物質等を考えてみますと、この問題というのは、まず水域流域からそれを除去しないといけないと思います。つまり水処理工場などのところでそれを除去しないといけないと思います。しかし、その種のもの、流域から来る産業・工業汚染物質をどうコントロールするかという課題であります。残念ながらそれ以上は私には答えることができません。非常に専門化した汚染物質、例えばダイオキシンの問題などは、私からはどうにも申し上げられません。
寺島:まだ他にもご質問いただいておりますが、時間の都合上ご容赦願いたいと思います。それでは、討論に入りたいと思います。
討論に先立ちまして、本日配付している資料を1つだけ紹介させていただきたいと思います。お手元の資料をご覧いただきたいのですが、海洋管理に関する各国の取り組みを表にしてみました。これはかなり独断と偏見で作成した部分がございますので、内容につきましては間違っておりましたらご指摘をいただいて、正しいものにアップデートしていきたいと思っております。ただ、こうして並べてみるとかなりいろいろな問題点があるなということで、ごらんいただければと思います。
一応点検項目としては、1から3までは具体的なデータでして、「国土面積」、「海岸線の延長」、3番目に「200海里水域面積」です。領海も含む経済水域200海里水域の面積、これは国によって非常に主張が違います。例えば先ほど冒頭にあいさつを申し上げましたけれども、オーストラリアなどは1620万km2という数字を出していまして、これは南極での水域を含んだ数字でございますが、この表は一応1つの統一基準を当てはめてつくった数字ということでご理解いただきたいと思います。データ自体は海産研の方でつくっていただいたデータを引用しております。
「海洋法」については、海洋法条約そのものを適用して、特に批准に当たって法律をつくらない主義の国もあろうかと思いますが、そういう細かい精査はちょっとできませんでしたので、一応気のついたものをそのまま入れております。