資料1-1
第2回海洋管理研究セミナー
2000年11月22日
欧州の統合的沿岸管理戦略に向けて
―地中海におけるフランスの貢献―
イブ・エノック
フランス国立海洋研究所(IFREMER)海洋環境部 部長
現在そして未来の沿岸開発のニーズを考えるとき、沿岸及び沿岸海域資源は戦略的に重要であるが、その利用に関しては沿岸域の戦略的計画と管理が必要である。最近のEU統合的沿岸管理デモンストレーション・プログラムの実施や欧州空間開発展望(EDSP)の採択は、この必要性を認知した対応策である。
このような背景に加え、EU諸国のうち北方に位置しながら地中海沿岸国でもあるという地理的条件を持つフランスには、各部門、環境、空間計画政策それぞれが使用する手段を効率よく統合するための特定の役割がある。本稿では、流域とその水が流れ込む海域を統合的に管理するための新しい手段として、1992年の水法によって設置された「水の利用と管理における基本計画」を紹介している。この計画は、地中海(ローヌ川―地中海―コルシカ―いわゆるRMC流域)における水資源とその環境の地球規模的かつコンセンサスに基づいた管理の原則を明確にしたものである。
本稿では実例を交えつつ、細分化された協議組織の流域委員会に支えられながら1992年の水法という法的手段とRMC水局、という強力な財源を有する機関が、いかに流域とその水が流れ込む海域、すなわち沿岸域に関して、統合的な管理体制を効率よく実現できるかを紹介している。
1. フランスの沿岸域政策
1.1 法的枠組み
1.2 水法と「水の利用と管理における基本計画」(SDAGE)
2. 地中海への適用
2.1 経済的活動
2.2 管理的活動
2.2.1 全国的枠組み
2.2.2 ローヌ川―地中海―コルシカ流域における活動
3. 教訓と勧告
結論:ガバナンスヘの回帰