できれば将来的にはこのような人間と自然の2つの要素を一体化させた統合的沿岸域管理システムを実現させ、このような高度に複雑なシステムを実際の沿岸域及び流域に関して適用していきたいと思っています。こういうようなシステムを現在さまざまな地域において開発中です。
そろそろ結論を申し上げなければなりませんが、これをごらんいただきたいと思います。この表は大変興味深いもので、「21世紀へ向けて」という本を書いたアメリカのデービット・コットンという人が作成したものです。NGOがどのように進化するかということを表にあらわしています。NGOこそが中心となって一般市民の代表者となるわけですが、将来的に彼らの役割は、地域の計画立案、また意思決定のプロセスの中でますます重要になってくるでしょう。すなわち政治家、意思決定者と向き合って、地方のレベルで一般市民を代表するのがNGOであります。
NGOの第1世代、それは救済とか福祉の関係の団体で、世界中にこうしたNGOがあります。今日では第3世代のNGOが出てきました。彼らは持続可能なシステムの開発ということを提唱しています。しかも、これを地域のレベルのみならず、今や国家レベルでもこういったものを提唱しているものが出てきますから、近い将来はグローバルなレベルでの活動を展開するところもあるでしょう。こうなれば、最終的には成長を中心に据えたビジョンから人々を中心に据えたビジョンヘと変わってくるわけです。そしてNGOがますます地方及び国のレベルの意思決定のプロセスの中で重要な役割を果たすようになっており、さまざまな分野、管轄を担当している、また沿岸域の管理を担当している当局と向き合って意思決定を行っていくようになるでしょう。
ここにあるホワイトボードに「Believing is Seeing」を書きました。ちょっと挑発的かもしれませんが、よく百聞は一見にしかずといいますが、むしろそれを逆にしてみました。つまり将来の管理ということを言うのであれば、我々個人として、また利害関係者として、まずは信条を持っています。そして、そうした信条がいろいろなビジョンに投影されてくるわけであります。自然環境に対しても同様です。信じるとは見ることです。つまり、この信条というのが言ってみればとても強力な決定要素となって将来の行動を決めるのです。ですから、信じることは見ることだと私は申し上げたいと思います。つまり何かを信じることによって、こういった管理というアプローチをさらに進め、改善していくことができるでしょう。つまり考え方を変えなければいけないということを言いたいのです。
将来の会合ということでご紹介いたしますと、リオ+10が来年12月に開かれます。すなわち92年の地球サミット10年後ということで、リオ+10の評価を行う会議がパリのユネスコ本部で来年12月に開かれます。
どうもご清聴ありがとうございました。