これは水の利用と管理における基本計画という地域レベルのものと、それから地域の行動計画というローカルなものがございます。
もう少し詳しくフランスの国内の話に入ってまいりますと、これは6つの大きな流域に分かれているかと思います。今私が関わっているのは、フランス、スペインの国境からイタリアの国境に至る地中海沿岸、コルシカ島も含む海域と言いますか地域であります(P.45参照)。ここには水のマスタープランという基本計画がありまして、これがこのローヌ地中海、コルシカと呼ばれるものでありまして、92年水法がそのベースとなっています。生態学的な計画の策定と、環境評価アセスメント、そして将来の管理を全流域に関して、それから沿岸域に関しても策定していくという作業であります。
ここで方法論に入りましょう。この法律が92年に改正されたと申し上げました。そこで92年から96年にかけまして、テーマ毎のアプローチとそれからもう1つ、地理的なアプローチの両方から行ないました(P.46参照)。
まず、地理的な面で見てまいりましょう。例えばグローバルな環境評価を行います。全体をこの流域にわたって評価していきます。ごらんのように沿岸域のところであります。IFREMERのメンバーとして私どもが主に関与しているのは沿岸域でありますが、テリトリアルなアプローチというのは、例えばローヌ川流域の部分は沿岸ではなく陸地ですけれども、この全体を含んで1つのテリトリーとみなした管理を総合的にするというアプローチであります(P.47参照)。
では、マスタープランにおける環境評価とはどういうことを意味するのかというと、詳しいことは省略しますが、環境アセスメントの際に、河川の汚染や富栄養化、毒物や有害物質による汚染、事故による汚染、河川の状態、定量的河川管理というような主なテーマのうち、どれが重要かということをそれぞれ検討するわけです(P.49参照)。つまりこの流域にとって何が大事なのかを見ながら、沿岸の方まで進んで行くんです。そしてそこには地理的なアプローチとして地元の行動計画、ローカルアクションプランがあります。
ここでの全体としての目的は、まず水の汚染に対する取り組みを続け、これを管轄水域、領域から沿岸水域まで含めた各領域に適用していきます。例えばスペインとイタリアの国境に接しているこの沿岸地域全体に注目し、これを様々な地域に分けて、具体的にそれぞれの管轄、地域について問題に取り組んでいきます(P.51〜57参照)。ここでは複数の基準を用いた解析という手法をとっております。そしてここでは、人間の活動による人為的なプレッシャーや、モニタリングネットワークから得られた環境の状態など、これらをもとにデータの解析を行い、分類し、マッピングし、それぞれの小地域に合わせた形でリスク評価を行っていきます。
そして2つ目に、データに関する問題です。これは世界的な問題とも言えるのではないかと思います。例えばEUの場合をとってみても、EUの環境庁においては、水質評価に関してまだ十分なデータが整備されておらず、評価が難しくなっています。ですから現在のモニタリングネットワークについては、もっと改善していく必要があります。特にフランスの地中海沿岸地域においては、この分野についての改善が必要です。
それにはそれぞれのモータリングネットワークの間での調整も必要ですが、それに加えて、新しい観測、モニタリング活動なども沿岸地域において始める必要があります。