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テーマはより複雑化していくでしょうから、まずは非常にシンプルなプロジェクトを用います。例えばヨーロッパのデモンストレーションプロジェクトのサイトでは、最初は非常にシンプルなものから始めました。しかし、こうした形で、積極的にさまざまな利害関係者と協議しながら、このプロセスを踏んで進めていきます。このような協議、コンサルテーションを踏むこと、これが中核にあるものだと思いますし、ICZMの開発にはそれが大事です。各デモンストレーションサイト毎にこのような協議をやります。

このスタディーですけれども、世銀の調査結果です(P.41参照)。つまり先ほどごらんになったサイクルを通してさまざまなステップを踏みながら、いかにしてこのような問題を管理していくか、特にさまざまな活動間の葛藤を解決していくか、そしてまたさまざまな利害関係者の参加をいかに管理していくかということが書かれています。これには善意だけではダメです。やはり技術、手法が必要です。うまくこの関係者に審議をさせて変化を検討させ、そして合意を取りつけさせるか、そして異なる活動間の合意を取りつけるか、異なる利害間の調整を図るかが示されています。こうした反復の過程を経てやっていきます。今、この管理、ガバナンスの話をしていたので、やはりこの点は特に強調したいと思います。

そしてその後、これはサイクルになって循環します(P.42参照)。ですから地元、現地、地域、国というレベル、そして欧州地域全体のレベルというように上がっていくかもしれませんが、各世代、各サイクル毎にまず第1次、第2次という順番があるでしょう。しかし、これはすべての過去の世界の経験から言える教訓ですが、最初に肝心なのは小規模にスタートするということです。余りに多くの話題を扱い過ぎる、それを同時に全部やろうとするということがよく見られます。そうすると結果はどうなるでしょうか。失望することになるでしょう。余りにもいろいろなことがあり過ぎると、それを全部同時に扱うのは不可能になってしまいます。ですから第1次から第4次まで上がっていきますが、随分時間がかかります。1サイクルに5から10年かかることもあるでしょう。そしてより複雑で高度な活動に移っていくというわけであります。

では、今ヨーロッパの活動を紹介してまいりましたので、次にもう少し的を絞っていきましょう。法律の1つ、フランスの法律を紹介してまいります。これは水の管理に関する法律です。(P.43, 44参照)水の管理、これは流域だけではなくて、最終的な沿岸域まで視野に入れるということです。この法律は水法というものでありますが、64年に導入・施行されまして、92年に改正されていますが、この法律の主な原則は、皆の共通の遺産として、水そのものだけでなく生態系にも触れているということです。

第2に、統合された管理という原則があります。これは流域の管理を統合してやる。そしてそれを受け入れる、つまり沿岸の海の部分も含まれるわけであります。

第3の原則というのは新しいツールを開発するということでありまして、一つは立法化のためということ、それからプランをつくる、立案化のためということであります。立案する、プランを立てるということ、これも統合的管理活動の中心の1つであります。

それから次に、SDAGE (Schema Directeur d'Amenagement et de Gestion des Eaux)というものをご紹介しましょう。

 

 

 

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